この記事のポイント
- ✓non-HDLは「総コレステロール − HDL」で計算される総合的な悪玉指標
- ✓150〜169mg/dLは境界域高値、170mg/dL以上は高non-HDLコレステロール血症
- ✓LDLのほか、VLDLやレムナントなどに含まれるコレステロールも含む
- ✓高い場合は、LDL・中性脂肪や他のリスク要因と合わせて確認する
non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いて求める値です。LDLだけでなく、VLDLやレムナントなどに含まれるコレステロールもまとめて捉えます。
日本動脈硬化学会の診断基準では、150〜169mg/dLが境界域高値、170mg/dL以上が高non-HDLコレステロール血症です。治療の必要性や目標値は、年齢、病歴、血圧、糖尿病、喫煙などによって変わります。
この記事では、計算式と診断基準、LDLとの違い、健診結果で高かったときに確認したい点を解説します。
non-HDLコレステロールとは?(計算式)
non-HDLコレステロールは、その名の通り「HDL(善玉)以外のすべてのコレステロール」を指します。
non-HDLの計算式
non-HDL = 総コレステロール − HDLコレステロール
計算例と見方
| 項目 | 健康診断の数値 |
|---|---|
| 総コレステロール | 220mg/dL |
| HDLコレステロール | 55mg/dL |
| non-HDL | 165mg/dL |
→ この場合は165mg/dLなので、150〜169mg/dLの境界域高値に該当します。境界域高値では、高リスクの病態がないかも含めて健診実施機関や医療機関へ確認します。
なぜnon-HDLが重要なのか?(放置するリスク)
LDLだけでは見落とす「隠れ悪玉」がある
non-HDLには以下のすべてが含まれます:
LDL
VLDL
レムナント
特に注目すべきはレムナントです。
レムナントとは?
レムナントは、カイロミクロンやVLDLが代謝される過程で生じる中間代謝リポタンパクです。
- LDLと同様に血管壁に蓄積してプラーク(こぶ)を作る
- 中性脂肪が高い人や、メタボリックシンドロームの人に多い
- LDL検査だけでは検出できない(正常値として見逃される)
放置するとどうなる?(動脈硬化の進行)
non-HDLが高い状態(高non-HDL血症)を放置すると、血管の内壁にコレステロールが沈着し、プラークを形成します。
やがて血管が細く硬くなる動脈硬化が進行し、最終的にはプラークが破裂して血栓ができ、心筋梗塞(心臓の血管が詰まる)や脳梗塞(脳の血管が詰まる)などの命に関わる深刻な疾患を引き起こすリスクが高まります。
non-HDLコレステロールが高い原因(女性・年齢別の傾向)
数値が高くなる原因は、単なる食べ過ぎだけではありません。
1. 女性ホルモン(エストロゲン)の減少による影響
女性では、閉経前後にLDLコレステロールが上昇し、結果としてnon-HDLも高くなる場合があります。
女性ホルモンの「エストロゲン」には、LDLの代謝を促し、数値を抑える働きがあります。
閉経前後の変化だけでなく、食事、体重、運動、遺伝、甲状腺機能など複数の要因が関係します。
以前より急に高くなった場合は、更年期だけと決めつけず、ほかの検査値や病歴も含めて医療機関へ相談してください。
2. 食生活の乱れ(糖質・脂質の過剰)
- 糖質・アルコールの過剰摂取: 中性脂肪を急増させ、結果としてレムナント(non-HDL)を増加させます。
- 飽和脂肪酸の摂りすぎ: 肉の脂身、バター、生クリームなどの動物性脂肪は直接的にLDLを上昇させます。
- トランス脂肪酸: マーガリンやショートニング(菓子パンやスナック菓子に含まれる)は、LDLを上げ、さらにHDL(善玉)を下げるという二重の悪影響があります。
3. 運動不足と肥満(内臓脂肪)
運動不足による内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム)は、インスリンの働きを悪くし、中性脂肪とnon-HDLの上昇を招きます。
non-HDLコレステロールの基準値とLDLとの関係
| 判定 | non-HDL値(mg/dL) | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 診断基準未満 | 150 未満 | 個人の管理目標はリスクにより異なる |
| 境界域高値 | 150 〜 169 | 高リスク病態がないか確認する |
| 高non-HDL血症 | 170 以上 | 医療機関へ相談する |
LDL管理目標値との関係(+30mg/dL)
日本動脈硬化学会では、non-HDLの管理目標値をLDLの管理目標値+30mg/dLとして設定します。
これは一律の「安全ライン」ではありません。LDLの管理目標値は個人の心血管リスクによって異なり、高中性脂肪血症を伴わない場合はLDLとの差が30mg/dLより小さくなることもあります。
LDLとnon-HDLの違い早見表
| 比較項目 | LDLコレステロール | non-HDLコレステロール |
|---|---|---|
| 含まれる悪玉成分 | LDLのみ | LDL + VLDL + レムナント |
| 中性脂肪の影響 | Friedewald式は400mg/dL以上で使用しない | 600mg/dL以上では信頼性に注意 |
| 食後の採血 | 計算法によって扱いが異なる | 随時採血でも利用される |
💡 ポイント: 中性脂肪が400mg/dL以上、または随時採血の場合は、non-HDLまたはLDL直接法が使われます。ただし、中性脂肪が600mg/dL以上ではnon-HDLの信頼性にも注意が必要です。
non-HDLを下げるための具体的な対策(食事・運動)
non-HDLが高い場合は、LDLと中性脂肪の両方にアプローチする対策が必要です。
1. 食事療法(脂質と糖質のコントロール)
- 青魚(DHA/EPA)を積極的に摂る サバ、イワシ、サンマなどの青魚に含まれるn-3系脂肪酸は、中性脂肪を下げる働きが報告されています。肉料理の一部を魚へ置き換える方法があります。
- 水溶性食物繊維を増やす オートミール、海藻(もずく等)、納豆、野菜類に含まれる水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールを吸着し、体外へ排出してくれます。
- お酒(アルコール)と甘いものを控える 飲酒や甘い飲み物の摂りすぎは、中性脂肪が高くなる要因です。現在の摂取量を確認し、減らせる頻度や量を決めましょう。
- 飽和脂肪酸を減らす 肉の脂身や加工肉(ウインナー等)を控え、調理油はオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸に切り替えましょう。
2. 有酸素運動の習慣化
運動によりHDL(善玉)コレステロールが増加し、結果としてnon-HDL(総コレステロール − HDL)が低下します。
- 推奨メニュー: ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど
- 頻度と時間: 1日30分以上(10分を3回でもOK)、週に3日以上(できれば毎日)
- ポイント: 息が少し弾む程度の「ややきつい」と感じる強度が脂肪燃焼に食事管理に役立つことがあります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
📌 non-HDLコレステロール まとめ
- 1. 計算式: 総コレステロール − HDLコレステロール
- 2. 診断基準: 150〜169mg/dLは境界域高値、170mg/dL以上は高値
- 3. 特徴: LDLに加え、VLDLやレムナントなどのコレステロールも含む
- 4. 見方: LDL・中性脂肪と、病歴などのリスク要因を合わせて確認する
- 5. 対応: 境界域高値・高値なら、健診実施機関や医療機関へ確認する
健診結果を確認する3ステップ
健康診断で「B判定やC判定(軽度異常〜)」が出た場合、多くの人が「まだ大丈夫だろう」と放置してしまいます。
判定記号だけでなく、実際の数値と過去からの推移を確認しましょう。
🩺 次の健診までにやるべきロードマップ
- 1non-HDLを計算する総コレステロールからHDLコレステロールを引き、検査票の値と一致するか確認します。
- 2ほかのリスク要因も確認するLDL・中性脂肪、血圧、血糖、喫煙、病歴などによって、必要な対応や管理目標は変わります。
- 3過去3年分のデータを並べる単年の結果だけでなく推移を確認し、境界域高値や高値、急な変化があれば健診実施機関や医療機関へ相談してください。




